絶対に負けられない試合 ー 構いません勝つまでは。
洗濯をするためには予約が必要です。スイスの洗濯室の予約は非常に簡単なので、ご紹介しましょう。
洗濯室にノートが置いてあって、そこに鉛筆で名前を書く。
以上です。非常に原始的なシステムですよね。まあ洗濯機を使用するのは集合住宅の住人だけだから、ということで成り立つわけですけど。
なんとなく予想はつくと思いますが、色々な国籍や人種や宗教が入り混じるヨーロッパにおいて、この善意による予約システムがうまく可動するわけない。するわけがない。
私がスイスに行ったばかりの頃、予約したはずの時間に誰かが洗濯していることがありました。
あれ予約したと思ったのに…してなかったっけ。
ノートを確認すると、なにー!!誰かが私の名前を消してるじゃないか!!しかも消し方雑っ!だいたい人の予約を消してその時間に洗濯したら、犯人バレバレじゃない。
そんなことを思ったけど、間違っているのは私の方でした。
そうです、これは洗濯戦争なのです。ボヤボヤしてたらやられる、それだけです。
ということで、この日から私は洗濯室に置いてある鉛筆を使うのをやめました。
日本から持参した油性のマジック、McKee(もちろん太の方ね)で名前を書くことにしました。もちろん裏のページにはがっつり写りますけども、構いません勝つまでは。
勝つか負けるか。勝者は清潔な衣類を身にまとい、敗者は汚れた服を着続ける。スイスにおける洗濯は、サッカー日本代表のよう。
いつも絶対に負けられない試合なのです。
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